Swim Mom 日記

くまもと出身、アメリカ東部在住。水泳好きな息子たちのおかげで競泳ワールドを覗いています。

800フリーの舞台裏

競泳の大会で長距離種目を泳ぐということはとても贅沢なことです。

 

400、800、1500メートル自由形は、いったい今自分は何回目のターンをしたのかということを忘れてしまわないように、タイマーに加え、水の中に週数のサインを出してくれるカウンターを確保して参加しないといけないからです。

 

いつもは、長男と次男は交代でカウンターをしあうのですが、なんと今回は長男が風邪でダウンしていたので、次男が800自由形(フリー)を泳ぐために、直前になって誰がカウンターをするのかという問題が浮上しました。

 

夫は仕事と娘の相手、夕飯の準備というミッションが決まっていたので、残るは一人しかいません。

 

そう、三男です。

 

その日の朝、「今日は学校から帰ったら兄ちゃんのカウンターよろしくね。タイマーはママがするから」と言っておいたはずだったのですが、帰宅後の三男はせっかく学校から解放されゲームができる幸せの放課後タイムになぜ兄貴のために時間をさかないといけないのだ!しかも、やったことないし!というモードで全く協力的ではありません。

 

こういうモードの三男を説得するのは本当に大変で、この瞬間半分諦めつつもありとあらゆる手段で頼んでいたら、寝込んでいたはずの長男が、応戦してきました。

 

ベッドの上から、「簡単だから!頼む!」「カウンターがいないと泳げない!」「8回サインを出すだけ!」などと、三男をなだめているではないですか。

 

自分も参加してパフォーマンスをしたかったところを、熱が出てそれがかなわず悔しい思いをしていたのにも関わらず、次男のために応援している長男をみて驚きました。

いつもは、Me Me Me で競争して自分が良い成績を出すこと、勝つことに執着する子ですが、なんと他者の為に一肌脱いでいる・・・。うるうるときました。

 

そして、なんと、私が説得しても絶対協力しない三男が、むすっとした顔をしながらも

靴下をはき行く支度をし始めたのです。こんな些細なことですが、普段の様子を見ている私にとっては、今目の前で起きていることが奇跡かなにかに見えました。

 

そして、三男の気が変わらないうちに、急いで車に乗り、すでにワームアップで会場に行っていた次男のもとへ急ぎました。

 

すると、なんと、次男はチームメイトにカウンターを頼んでいたのです。

 

「え~!あんた、タイマーとカウンターがいるって言ってたじゃない!!」

「どんな苦労して三男を連れてきたと思ってるの!!!」と爆発する私より先に、三男の目から涙が噴出し、それをなだめていたらあっという間に次男が泳ぐ時間になりました。

 

それでも、意地悪カーさんは、泳ぐ直前の次男に、「もう、大変だったんだからね。」とちくっとだけ言い、彼はスタート。

 

ストップウォッチを持ちながら、間近で次男が50メートルのプールを8往復している様子を見て、

 

こういうすったもんだドラマは一人の子供が泳ぐ舞台裏にどのくらい存在するだろうかと思いをはせてみると、たかが競泳、されど競泳だなーとしみじみ。

 

体力をつけること、良いタイムを作ることだけでなく、こういう舞台裏でのドラマの中で一人一人が成長すること、自分の役の中でできることを精一杯やること、などなどの

おまけがたくさんあるともます。

 

 

そして、次男は華麗に10分を切って州大会の基準をクリアし、家族の応援に報いていました。

 

もちろん、帰りの車の中でドラマの詳細と、それから長男が応援してくれたこと、三男がゲームの時間を割いて来てくれたこと、パパが夕飯を作ってるからママがタイマーに来れたこと、妹も駄々をこねないでちゃんと待っていてくれていることを言って聞かせました。

 

 

やれやれでしたが、今回のトラブルメーカー次男、パパが作ったチキン焼きを食べ、「とーちゃん、うまい!」と親指を立てていたのでよしとしました。